野球肩(リトルリーグショルダー)
野球肩とは投球動作によって肩関節周辺の痛みや上腕骨骨頭の骨端線が損傷される疾患。別名、上腕骨近位骨端線離開とも呼ばれ、その大半が投球回数の多い投手か捕手に発生します。十分な筋力がない小児期に間違った練習方法や過度の投球動作によって発生してしまうのです。
投球動作は5つの動作(ワインドアップ期、コッキング期、加速期、リリース期、フォロースルー期)より構成され、ワインドアップ期は投球動作に入るまでの動作、コッキング期はボールを持って肩が最大に外転、外旋する時期までの動作、加速期はボールの投げ始めからボールを手放すまでの動作、リリース期はボールが手から離れ、腕の動きが急に減速される時期までの動作、フォロースルー期はボールを投げ終えて投球動作が終わるまでを言います。
この一連の動作の中で、加速期からリリース期にかけては、特に肩の内転筋群と内旋筋群が酷使され、野球肩は、これらの動作の繰り返しによって上腕骨近位骨端線に異常な回旋ストレスと牽引力が加わり疼痛が発症してしまうものです。
症状は投球時の肩の痛みや脱力感、運動障害など。治療は投球動作を一定期間完全に中止、もしくは投球制限をしなければなりません。リハビリテーションとして肩や腕のストレッチングと筋力強化訓練を指導し、最も大切な治療は予防に対する指導です。すなわち指導者は投球前に十分なストレッチングやウォーミングアップを指導し、投球フォームを念入りにチェックし、練習が過剰にならないように注意しなければなりません。
さらに練習後はアイシングを行わせクーリングダウンの徹底は必須です。投球数は小学生では一日の投球数を50球以内とし練習時間は1日2時間、練習期間は1週間に3日まで、中学生では一日の投球数を70球以内とし1週間に6日まで、高校生では一日の投球数100球以内とし1週間に6日までと言われています。
しかしこれは統計上、医学的に言われている球数であって、個々の体格や柔軟性も違うため一概に言えません。チーム事情や監督の考えなどで、球数をオーバーしているのが現状です。将来のため自己管理をしましょう。