背中の痛み
背中の痛みとしてあげられるのは、不意に物を持った時とか、物を持って急に体位を変換した時とか、何もしないのに朝起きた時に急に痛くなったなど「ギックリ腰」と同じような原因で発症するものがあります。
体を捻ったり、前後屈をした際に強い痛みが発症します。ギックリ腰と違うのは背中の筋肉は、呼吸筋と言って呼吸や咳をする時に特に使う筋肉ですので、痛みが強い時は呼吸もままならないこともあります。咳やクシャミにも痛みとして本来の「ギックリ腰」より敏感に反応します。また、他にも高所からの転落による脊椎の損傷や、単なる疲労からくる痛みもあります。
急性期の場合は安静を保ち患部を冷却し、早めの治療が大切です。
タナ障害
膝関節の滑膜ヒダを「タナ」といい、胎生期の遺残ですが、その大きさや厚さによって障害を引き起こすことがあります。
内側の滑膜ヒダは膝の屈曲動作のときに膝蓋骨(しつがいこつ)の下にもぐりこんで音を鳴らしたり、痛みを伴うとされ、逆に外側の滑膜ヒダは膝の伸展動作のときに痛みを伴うとされています。
アイシングや筋力強化、ストレッチ性の向上など日々のケアが大切になります。痛みが発症したら治療です。
腓腹筋筋痙攣(こむらがえり)
寒い日や運動中またはその後、夜寝ている際に突然ふくらはぎに激痛が走って痛くなる症状を「こむらがえり」と言います。
こむらがえりとは、ふくらはぎの一部の筋肉が勝手に収縮し、それが筋肉全体に広がり、さらに収縮し続ける状態を言います。何故この様な事が起きるのか?通常まず筋肉が収縮すると、周りの皮膚や感覚神経のセンサーが脳に送られ、そこであとどれだけ運動を続けるかなどの指令を筋肉に送ります。そうして人間の体は動く訳ですが、そのコントロールが上手くいかなくなると、こむらがえりが発生します。
体内の水分や電解質(カルシウムやマグネシウムなど)が少なくなると、神経や筋肉が刺激を受け易くなるので運動時や疲労が強い時に発生しやすくなるのです。
また温度の低い場所では感覚が低下する為、筋肉の収縮を抑える働きが鈍くなり、その結果こむらがえりが起こると言われています。もし、こむらがえりを起こしてしまった場合は膝を伸展(伸ばす)、足首を背屈(上に反らす)させ、ふくらはぎをゆっくり伸ばして下さい。ふくらはぎのストレッチで筋肉は弛緩します。予防法としてはミネラルを含んだ飲料水の補給、筋肉の柔軟性をつける。足の冷えに注意する、などがあります。
足のしびれ
足のしびれ?と聞いて、皆さんはどの辺りを想像しますか?お尻?太もも?ふくらはぎ?つま先?と様々ですが、前述の手のしびれ同様、発症する場所で大体の問題は解決します。
原因は腰に問題があるものや、股関節、膝、すね、など様々です(大部分が腰から来る場合が多い)。腰部牽引療法が必要か?ストレッチングが有効か?冷却?それとも温熱か?運動開始期間は?
患者さん1人1人の症状に対する治療方法や、日常生活での指導などの見極めが大切なのです。
手のしびれ
手のしびれ?と聞いて、皆さんはどの辺りを想像しますか?手のひら?二の腕?前腕?指先?・・・色々あると思いますが、いわゆる手のしびれというのは、発症する場所で大体の問題は解ります。さらにそこから先は各種徒手テストをして鑑別するのですが、原因は首に問題があるもの、肘、手首、など様々です。
当然ながらそれによって治療方法も異なります。固定が必要なのか?安静が必要なのか?あるいは運動した方が良いのか?などなど・・・
当院ではこのような症状の方の治療や日常生活での指導も行っております。
コーレス(Colles)骨折
前腕骨下端部の骨折中では、最も頻度の高い骨折の一つです。橈骨の骨折した末梢端(骨折部分より手首側の骨折片)が中枢端(骨折部分より肘側)の背側(手の甲側)に転位(骨がズレること)し、中枢側の骨と重なるように短縮するため、手首がフォークの柄のように曲がってしまい ます。
転位が大きいと、尺骨(隣の骨)との関節を支えている靱帯が断裂し、脱臼することもあり、特に高齢者では尺骨の脱臼を合併するケースを多く観られます。
幼小児では骨が軟らかいため、折れるのではなく骨が曲がったり圧迫されたような状態になることもあります(これを若木骨折と言います)。
治療は整復操作(せいふくそうさ)により転位を除去し、再度の転位を防ぐ固定をします。固定期間は小児や若年者などで3週から4週、中高年から高齢者では6週ほど施行します。
整復操作とは:骨折した患部を引っ張って転位を修正し、正常な位置に戻す動作のこと。そうすることによって手術を回避できるのです。
「コーレス骨折の注意点」
骨折の整復が不十分な場合、あるいは固定が不十分で再転位してしまった場合に変形したまま骨折部分が癒合してしまうことを変形治癒と言います。この様な状態では手首を返す動作(回内・回外)特に手のひらを上に向ける回外動作が制限され、また手首の屈伸角度も制限されてしまいます。
ランニングの重要性
ランニングは全てのスポーツに共通する基礎訓練であると言えます。基礎訓練として効果的であると同時に、スポーツ障害を起こす原因にもなりうる運動です。それでもランニングは様々なスポーツの練習に組み込まれ現在も継続されています。正しいやり方で節度を守って行えば、スポーツ障害の予防にも効果を発揮します。
「ランニングで起こるスポーツ障害」
ランニングも運動の一種である以上、スポーツ障害とは無縁でいられないと言えます。過度のランニングで起こるスポーツ障害としては、オスグッド病や腸脛靱帯炎などの「ランナー膝」と呼ばれる膝の疾患やアキレス腱炎、捻挫などがあります。これらの障害は走る時の膝の屈伸の繰りかえしと、足を下ろしたときの衝撃が原因となって起こります。
「安全なランニングのために」
スポーツ障害を予防しつつランニングを行う為には、幾つかの注意点を抑えることが大事です。まずオーバーワークしないことが重要な条件と言えます。体力の限界だけでなく肉体の限界を越えたトレーニングは、身体を鍛える以上に身体を壊すことに繋がります。事前のスケジュールだけでなくその日の体調も合わせてトレーニングすることが大事です。次に靴を工夫することも大事です。ジョギング用のシューズは、足にかかる衝撃を吸収する役目も持っています。足のサイズに合わせた靴選びだけではなく、衝撃吸収性に優れた中敷きを選ぶなども重要です。
足関節のテーピング
スポーツの種目にもよりますが、当院の患者さんは足関節の捻挫が多い傾向にあります(特に学生)。足関節捻挫にも内反捻挫と外反捻挫があり、足関節構造上、圧倒的に内反捻挫が多いのです。
内反捻挫とは足の裏が内側を向いて外踝(外くるぶし)の下の靭帯を損傷したものを言い、あまりに激しく内反すると内踝(内くるぶし)がすぐ下の距骨と激しくぶつかって、内側にも強い痛みが出ることがあります。
受症直後はRICE(安静、寒冷、圧迫、高挙)の処置を行い、(1)腫脹、(2)発熱、(3)発赤、(4)変形、(5)強度の痛みがあるときには自己判断せずに必ず診察を受けて下さい。
ケガをすると直ぐにテーピングするという傾向がありますが、上記の5つの徴候(特に4、5)がある場合は治療が先決であり、テーピングはケースバイケースです。
テーピングがその効果を発揮するのは、足関節の保護や一度経験した足関節捻挫の再発防止を目的とした場合です。テーピングをする際の心得は怪我に関係する動きを制限し、かつパフォーマンスに影響を与える動きは制限しないことです。
足首周辺の形は男女様々で、テーピングを巻きやすい足、巻きずらい足があり、巻き方や形状に常に変化があるので、足関節のテーピング固定は難しいのです。痛みでお悩みの方、御来院ください。きっと力になれると思います。
足底筋膜炎
足底筋膜炎とは足底筋膜と呼ばれる踵(かかと)の骨の下側と足の指の付け根(母指球)をつないでいる丈夫なヒモ状の筋膜組織が炎症を起こした状態をいいます。
足底筋膜は踵の骨の下側と母指球を繋ぎ、歩いたり走ったりする時にバネの役割を果たしています。運動や長時間の歩行などにより、足底筋膜に繰り返し負荷がかかることによって起こり、足底筋膜に炎症及び微細な断裂が生じます。
足底筋膜炎は踵の痛みを起こす最も一般的な原因です。痛みは足底筋膜に沿った部位ならどこにでも起こりますが、最も多いのは踵の骨と足底筋膜がつながっている部分です。土踏まずのアーチが高い人も低い人も、この症状を起こす人はたくさんいます。腓腹筋(ふくらはぎ)やアキレス腱が緊張すると足が平らになり筋膜に痛みを伴います。ランナーやダンサーに多く起こりますが、長時間立ちっぱなしの職業の人にも見られ、靴を変えた時などにも足底筋膜炎を起こす場合があります。ストレッチングやアイシング、物理的な治療器を駆使し疼痛軽減に努めましょう。
腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)
腸脛靭帯炎とは、膝の外側に痛みの出るランニング障害です。ランニングによる膝障害の代表とも言われ、膝の屈伸運動を繰り返すことによって、腸脛靱帯が大腿骨外顆と接触して炎症を起こし疼痛が発生。特にマラソンなどの長距離ランナーに好発します。(ほかにバスケットボール、水泳、自転車、エアロビクス、バレエ等)
主因はオーバーユース。過剰なランニングの時間と距離、柔軟性不足、休養不足、硬い路面や下り坂、硬いシューズ、下肢アライメント(内反膝)など、さまざまな要因が加味されています。
症状は、大腿骨外顆周辺に圧痛と腸脛靭帯に緊張が増し、時に靱帯の走行に沿って疼痛が放散します。初期はランニング後に痛みが発生しますが休むと消失。しかしランニングを続けていると次第に疼痛は増強して、簡単に消失しなくなってくるでしょう。
治療法は第1に局所の安静、ランニングの休止が重要です。次に大腿筋膜張筋など股関節外側部を主としたストレッチの強化、アイシングを徹底します。さらに超音波治療などの物理療法を行った方が良いでしょう。症状が出現すると簡単には消失しないので、発症初期の決断、適切な休養期間が大切です。