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鵞足炎(がそくえん)

鵞足炎とは膝の内側下方に痛みが出るランニング障害です。鵞足とは膝のすぐ下の内側にある、縫工筋(膝を伸ばす筋肉)・薄筋半腱様筋(膝を曲げる筋肉)が脛骨(すねの骨)に付着している部位で、付着している腱が鳥の足の形に似ていることからこのような名前が付けられています。つまり鵞足炎とは鵞足部に付着しているこれら3つの腱の炎症です。

原因は膝の繰り返しの曲げ伸ばしの際、膝の外反や下腿の内旋が強いときに、鵞足に付着している腱が炎症を起こし、膝の内側下方に痛みが現れます。鵞足炎も大腿部周囲筋や股関節周囲筋などの柔軟性の低下や、X脚などの身体形態特性、ジャンプやターンの繰り返しでも起こり、特に過度のランニングによるストレスなども原因として挙げられます。
鵞足炎の予防策や治療などは、走行中や走行後に痛みがあるがスピードには影響しない程度の時は、十分なストレッチとアイシングで十分です。歩行時でも痛く、走る距離やスピードに影響が出る場合は、ランニング(練習)を中止し、安静にして治療に専念した方が良いでしょう。また靴の踵の減り具合をチェックし、極端に外側や内側が減っている場合にはアライメント矯正(足底板)やフォーム矯正、テーピングも必要です。

寝違え(頸椎捻挫)

寝違え(頸椎捻挫)とは睡眠時に起きた頸椎捻挫のことです。睡眠中に無理な姿勢を取ったり、無理な首の動かし方をすることで首の筋肉に負担がかかり、筋違えをおこして筋肉痛に似た痛みが生じる症状のことです。
症状は軽い場合から重い場合まで様々。寝違えは首が炎症を起こしている状態なので、決して自分で直接患部にマッサージを行ったり、無理に首を回したりしてはいけません。
対処法としては、まず冷却と安静。数日経過した後に痛みが軽減してきたらマッサージや牽引療法などを徐々に行うようにします。
基本的に治療開始から3日から1週間ほどで症状は治まりますが、初日から痛みのピークが続くことがあり、早急に専門医に受診し治療をした方が良いでしょう。

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアは、青壮年者(16~50歳くらいの者)の腰痛・下肢痛を起こす代表的な病気です。腰椎椎間板ヘルニアでは通常「ぎっくり腰」と呼ばれる急性腰痛が起こります。腰痛のみの場合は、激痛であっても通常は安静と電気治療などによって比較的短期間で治ります。しかし1度は治っても、腰椎への過剰な負担が加わった時に急性腰痛を繰り返すことが少なくありません。

脊柱のクッションの役割を果しているものが椎間板です。椎間板は年齢とともに(20歳を過ぎ)次第に衰えてきます。そのために椎間板内部の髄核が飛び出してしまった状態を椎間板ヘルニアと言います。しかし椎間板が飛び出ているだけなら、大した問題になることはありません。問題なのは飛び出したものが神経を圧迫することにより坐骨神経痛などが生じることです。

坐骨神経痛は、ヘルニアの程度によって痛みの程度は様々であり、軽症のものから重症では日常生活に支障をきたすようになります。 例えば、①じっと坐っていられない。 ②仰向けの姿勢で寝ていられない。 ③立ったり歩いたりできないなどです。さらに進行すると下肢にシビレや知覚障害が発現し、下肢の筋肉に麻痺が起こることさえあります。日頃から腰部を温め、ストレッチングなどで予防しましょう。

後十字靭帯損傷(PCL)

後十字靭帯損傷(PCL)は、膝をついて倒れた時や前方から膝を圧迫された時、脛骨(けいこつ:すねの内側の骨)が後方に押し出されて損傷します。スポーツ外傷としてはコンタクトプレー(接触動作)によるものが多く、タックルや転倒などで見られます。

後十字靭帯を損傷すると、膝裏の痛みと関節内血腫(いわゆる膝に血液を含む水がたまる)をきたすことが多く、ひどい場合は膝を立てると脛骨が後方にずれるのが観察されことがあります。後十字靭帯のみの単独損傷では、前十字靭帯損傷(ACL)にみられるような膝くずれの現象は少ないのです。
単独損傷の場合はRICE処置を行い、保存的な治療を優先させますが、陳旧性(ちんきゅうせい:古くからのケガ、古傷)の後十字靭帯損傷では跳躍動作のときの脱力感や膝の屈伸動作に支障が出る場合もあるので注意が必要です。
リハビリプログラムには個人差がありますが、それぞれの筋力に応じたトレーニングを行いながら競技復帰を目指すようにしましょう。

突き指

指先に強い衝撃が加わることで指の腱や骨が損傷を起こす突き指は、スポーツ障害としてもよく起こる怪我のひとつです。
突き指は、指先から根元までの縦軸に向かって力が加わることで起こる怪我で、捻挫の一種です。指は物を握る働きを持つ構造上、横から掛かる力にとても強いといえますが縦から掛かる力にあまり耐えられない性質を持っています。それに加えて、指はどうしても腕や脚よりも大きさが無いため、強度が低い部位であると言えます。そのため、ちょっとしたタイミングや隙をついて突き指が起こってしまうのです。

【突き指を起こしやすいスポーツ】
突き指は素手でボールを扱うことが多い球技に起こりやすいと言えます。野球・バレーボール・バスケットボールなど、場合によってはサッカーのゴールキーパーにも起こります。これらのスポーツの共通点は、「ボールを指先で捉える機会が多いこと」「倒れるなどして地面に指先をつける機会があること」などが言えます。

【突き指で起こる損傷】
突き指は、指が痛むだけのスポーツ障害ではない!のが厄介なところです。指先が手のひら側に強く押し込まれることで、指の骨全体がズレてしまうのです。指を動かしている腱が炎症を起こしたり断裂してしまったりするだけでなく、指の骨が第一関節または第二関節の手前で骨折してしまうことがあるのです。そのため、突き指を甘く見てしまうと指の機能が完全に回復しないまま完治してしまうことがあるので注意が必要と言えます。

突き指は甘く見られがちな怪我であるといえます。俗に「突き指をしたら引っ張ってやればよい」と言われていますが、逆に指の骨の脱臼や腱の炎症を引き起こす原因となってしまうので厳禁です。
突き指を起こした場合は、RICEの処置に従って患部の冷却と固定を行います。突き指は骨折や腱の断裂を伴う場合があるので注意してください。治療を早急に受ける必要があります。

ジャンパー膝

ジャンパー膝は、ジャンプ動作を頻繁に行うことで発生するスポーツ障害です。ジャンプ動作を繰り返すことで、膝を動かす腱の損傷や炎症を招くものです。
片方または両方同時に発症し、膝の機能に障害をもたらすことがあります。症状としてはジャンプ動作時の膝の痛みがありますが、症状が重くなると膝蓋腱・大腿四頭筋腱の断裂を招きます。日常生活の歩行にも影響が出てくるでしょう。

【ジャンパー膝が起こりやすいスポーツ】
多くのスポーツは潜在的にジャンパー膝を発症する可能性があると言えますが、ジャンパー膝を発症しやすいスポーツはある程度絞られてきます。特にジャンパー膝を発症しやすいスポーツとしては、バスケットボールやバレーボール、バトミントンなどの一定の高さを頻繁に越えて攻撃する必要がある球技が挙げられます。ハードルなどのジャンプ動作を頻繁に行う陸上競技も、ジャンパー膝を起こしやすいスポーツに含まれます。
ジャンパー膝はジャンプ動作に伴って起こりますが、ジャンプ動作なしでも痛みを感じるようならば、ジャンプ動作を伴うスポーツを休止してアイシングと安静にするように努めます。休息中に衰えた筋力を取り戻す為のトレーニングを開始し完治してから運動を再開するようにしましょう。

救護活動(柔道)

先日、佐野市内にて少年柔道大会が開催され、救護活動を務めてきました。柔道とは相手と組合う投げのスポーツであり、とても激しく怪我の発生率が非常に高いのです。打撲や捻挫は日常茶飯事、時に鎖骨骨折、肩関節脱臼などの大怪我も発症します。

日常の診療の中でスポーツ選手を診ていると、それぞれのスポーツの特性や怪我の発生箇所が解ってきます。今後も様々なスポーツの特性、特徴を熟知し、私個人は勿論ですが、整骨院の業界全体がこのような活動に積極的に取り組み、全てのスポーツの救護活動に対応できるように努力していきたいと思います。

(追記)
私は今までに、柔道、バトミントン、スキー・スノーボードパトロールの救護などを経験してきましたが、現場ではレントゲンも無ければ高度な医療機器もありません。時に迅速かつ適切な対応を迫られることもあります。病院へ行くまでの応急処置とは言いますが、その処置や固定の内容にこだわりを感じたいのです。
何も無い現場で迅速な診断と適切な処置が出来てこそ、プロフェッショナルだと思います。

膝の前十字靱帯損傷

前十字靱帯は膝の内部にある靱帯で、主に膝が前後に過度に動くのを防ぐ役割をします。スキー、サッカー、バスケットボールなどのスポーツで損傷しやすい靭帯です。
症状は腫れや痛みのために膝を曲げることが困難になります。損傷の程度により、靭帯が伸びたり一部分傷んだりする部分断裂と完全断裂に分けられます。内側半月や内側側副靭帯損傷を伴うことが多く、その場合には治療に難渋します。歩行時に膝崩れを引き起こすこともあります。
受傷直後は早めの処置が大事です。まずは安静・冷却・圧迫・挙上によるRICEの処置(当コーナーで解説済)をし、移動の際には膝を包帯や副木で固定し、その後、医療機関を受診し診断を受けましょう。

部分断裂の場合は、急性期は冷却療法や超音波治療。慢性期には温熱療法および筋力訓練で治療します。前十字靭帯は内側側副靭帯と比べて再生しにくい靭帯です。そのため完全断裂の場合で、スポーツ競技の継続を希望する場合は手術を選択した方が良いでしょう。スポーツ復帰は日常生活やレクリエーションレベルのスポーツは受傷後の適切な治療とリハビリで可能になります。

膝の半月板損傷

半月板は膝関節内にある組織で、大腿骨と脛骨(すねの骨)の安定性を与え、膝関節にかかる体重負荷を吸収分散するクッションの働きをします。

半月板が損傷されると円滑な膝の動きが妨げられ、半月板損傷の特有の症状として、膝のロッキング現象(引っ掛かる感じがして膝が動かせない症状)が現れます。
膝の曲げ伸ばしが困難になり、激しい痛みが伴い、弾発音とともに動きが回復するなどの場合は、半月板損傷の典型的な症状です。野球、サッカー、バスケットボール、バレーボールなどに受傷が多くみられます。

損傷部位にもよりますが、損傷度合が軽中度である場合、筋力訓練などによる膝関節のコンディショニングや超音波治療などで症状はおおむね軽減するでしょう。

肘内障(小児の肘の脱臼)

年少児、特に2~5歳くらいの幼児に多く、俗にいう肘や腕が抜けた状態です。手を急に引っ張ったり、捻ったりした時に起こり突然痛がって泣き出します。痛い方の腕はだらんと下がったままになり、全く手を使ったり動かしたりしません。外見上、腫れたり変形はなく、痛みの部位は漠然としており、はっきりしません。特に腕を上げる動作は嫌がり、ちょっとでも手を上げさせると痛がって泣きます。

これは肘の関節の親指側の橈骨(とうこつ)という骨の頭の部分が輪状靭帯という筋から外れかかった為に起こる病気(脱臼)です。
時間が経つと治りにくくなる事があるので、早急に整骨院の診察を受けてください。脱臼が治れば子供はすぐに上肢を動かすようになります。
予防としては、一度起すと繰り返しやすいので、急に手を引っ張ったりすることのないように気をつけましょう。学齢期になれば自然に起こりにくくなります。

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