坐骨神経痛
座骨神経痛とは?
坐骨神経の圧迫、脊椎神経根の圧迫などが原因。お尻から太ももの後面、ふくらはぎ辺りの痛みが発症し、しびれ、知覚鈍麻、歩行障害などが見られることがあり、その日の健康状態や体調によって痛さや箇所が変わることもあります。
このような症状を坐骨神経痛と呼び、基本的に患部は温め、症状に応じたストレッチング、マッサージを行います(痛みが強い時はマッサージは厳禁)。腰部牽引療法なども有効です。
冬季、朝晩が冷え込む時期に注意です。
疲労骨折
疲労骨折とは「骨折」という名前から怪我のようなイメージではありますが、通常の負荷では骨折を起こさない程度の力が、同一部位に継続的に加わる(疾走やジャンプ)ことで、骨組織の結合を破壊し最終的に骨折となるものです。特に脛骨(すね)の骨折が多く、疲労骨折の約50%を占めます。その他に腰椎、中足骨(足の甲)、肋骨などもあります。
症状は患部の疼痛と加重痛で、初期の疲労骨折はX線写真では映らないため、疲労骨折が疑われる場合、症状の程度と経過を観察することが重要です。(因みに以前記載した「シンスプリント」は疲労骨折になる前の状態です)。難治性のものもあり、治るまでに時間がかかる場合もあります。スポーツは休止させた方が良いでしょう。
年間を通じて学生達を観察していると中学1年生、高校1年生が特に多く見られ、環境が変わり基礎体力中心の走り込みの時期に多く見られます。
RICE処置 (ケガをした時の応急処置法)
RICE(ライス)処置とは、外傷(打撲、捻挫、肉離れなど)の直後に行われる重要な急性期の応急処置法です。RICEはRest(安静)・Icing(冷却)・Compression(圧迫)・Elevation(挙上)の4つの頭文字で構成されています。RICE処置を的確に行えば症状を最小限に抑えられます。早期復帰は受傷直後の適切なRICE処置にかかっているのです。
●Rest(安静)=痛みや腫れを悪化させない目的で行います。競技中であれば安全な場所に移動し、楽な姿勢で全身を安静にさせます。骨折や靭帯損傷の可能性がある場合は固定(添え木やテーピングなど)を行います。
●Icing(冷却)=痛み・腫れ・発痛物質の発生などを軽減させる目的で行います。アイスバック・氷のう・アイスノンなどを用いて、30分程度感覚が無くなる程度に冷やします。
●Compression(圧迫)=内出血や腫れを軽減させる目的で行います。患部を包帯やテーピングを用いて圧迫します。注意点は圧迫しすぎないこと。強すぎる圧迫は神経や血管に影響を及ぼし、手足の指先にしびれが出たり、肌の赤味が無くなったりする場合があります。
●Elevation(挙上)=腫れを抑える目的で行います。患部を心臓より高くします。足や膝の怪我であれば、布団などを下に入れると良いでしょう。睡眠時にも同様に挙上しましょう。
RICE処置のあとは必ず専門医の診察を受けましょう。
スポーツによる有痛性外脛骨
外脛骨(がいけいこつ)。聞きなれない骨の名前ではあるが、足関節の内くるぶし前下方にある過剰骨(普通にはない余分な骨)で、日本人の10~26%くらいの頻度で存在します。
外脛骨が存在しても痛みがない場合もありますが、この骨には後脛骨筋腱(足を底屈させる筋肉)が付着しているためスポーツによる「使いすぎ」や、シューズによる圧迫、さらには捻挫などの外傷が引き金となり、痛みなどの症状が出現します。
発症の原因のほとんどは、スポーツ活動によるもので、決して少なくはないスポーツ障害の1つです。また、いわゆる偏平足気味の人は体重がより内側にかかり、症状が出やすいのです。症状は足の内側に膨隆があり、圧痛や運動痛が著明です。
治療に先立ち、練習量と練習メニューの見直しや、シューズが本人に適しているかどうかをチェックする必要があります。症状が頑固で長期に渡る場合は、土踏まずの部位を持ち上げるアーチサポートなどの足底装具が有効です(この方法は、他の足や膝などの障害にも有効な手段)。
ひざの障害(オスグッド病)
小学校高学年から中学生が積極的なスポーツ活動をしている時に膝のお皿直下に痛みや骨の隆起を訴え受診されます。その多くはオスグッド病と呼ばれる10代前半に好発する代表的な成長期に起きる骨の病変です。
脛骨粗面の軟骨に分離や遊離(骨が一部はがれること)が生じる障害。症状はスポーツ時の膝前面の痛みや腫れで、悪化すると通常の歩行時にも痛みを訴えます。
発生原因はスポーツなどによる「使いすぎ症候群」の1つとされ、ランニングや跳躍動作により大腿四頭筋が収縮し、膝蓋靱帯を通して脛骨粗面に牽引力が繰り返しかかることにより隆起や剥離が起きます。これがオスグッド病です。
痛みが強い場合には一時的にスポーツを休止する必要があります。基本的には活動を続けながら治療を行いますが、サポーターを装着したりテーピングを施したり、大腿四頭筋のストレッチング、運動後に患部を冷却することも効果的です。オスグッド病による膝の痛みは、骨の成長が完了するに伴い軽減し、将来障害が残りスポーツに支障をきたすことはほとんどありません(骨の出っ張りは残ります)。したがって充分知識を持ったコーチや指導者のもとであれば、普段のストレッチなどのケアーをしっかりし、練習量をコントロールすればスポーツを続けることができるのです。
肉ばなれ
肉離れ(にくばなれ)とは、急激に筋肉が収縮した結果、筋膜や筋線維の一部が損傷することを言います。
スポーツをしている最中に起こりやすく、大半は下肢に起こります。大腿四頭筋(太もも前面)、ハムストリング(太もも後面)、腓腹筋(ふくらはぎ)などに多く発生し、自家筋力の強力な筋収縮(ちぢむこと)により筋肉の部分断裂が発症するのです。
発生要因としてウォーミングアップ不足、筋疲労、過去の損傷など、自覚症状があまりなくても肉離れが起こっていることもあるので専門家の診断が必要です。また痛みがなくなった場合でも再発しやすく、最後まで十分に治療することが大事です。スポーツ再開までには数日間、重症では数週間の安静を要することもあります。一般的に受傷直後はアイシングを行い、治療経過を診ながらリハビリテーションを開始。きちんとした治療予定が必要です。
シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)
シンスプリントとは下腿内側に位置する脛骨(すねの骨)の下方1/3に痛みが発生する症状。骨折した時のような激しい痛みではなく鈍痛なのが特徴です。脛骨過労性骨膜炎とも言います。
マラソン選手や陸上競技のランナーには特に発症しやすく、症状初期は運動時のみ、脛(すね)の辺りに不快感や軽い鈍痛を感じることから始まります。これは散発的なものであるため、本人が大したものではないと思うことがほとんどなのです。痛みの元は骨を覆っている骨膜が炎症を起こしているものです。
原因は様々で筋肉の酷使、筋力不足、柔軟性不足、扁平足、悪いランニングフォーム、足に合わないシューズ、コンクリート上での走り込みなど個人差はありますが、殆どは練習量が多くなることなどで発生します。
痛みは脛骨に沿ってうずくような鈍痛で始まり、筋肉が骨に付着するラインに沿って起こる。症状が進むにつれ、運動している最中はずっと持続するようになります。最終的には日常生活動作にも痛みが伴うようになり、そのまま運動を継続すると最終的には疲労骨折に移行します。
予防、治療策は足を長期間休めることが第一。足を使った後は入念なストレッチをし、アイシングをすると良いでしょう。早期に運動を開始すると再発することが多く、普段のケアとしては筋肉のストレッチを行って柔軟性を高めたりすることが大切です。
野球肩(リトルリーグショルダー)
野球肩とは投球動作によって肩関節周辺の痛みや上腕骨骨頭の骨端線が損傷される疾患。別名、上腕骨近位骨端線離開とも呼ばれ、その大半が投球回数の多い投手か捕手に発生します。十分な筋力がない小児期に間違った練習方法や過度の投球動作によって発生してしまうのです。
投球動作は5つの動作(ワインドアップ期、コッキング期、加速期、リリース期、フォロースルー期)より構成され、ワインドアップ期は投球動作に入るまでの動作、コッキング期はボールを持って肩が最大に外転、外旋する時期までの動作、加速期はボールの投げ始めからボールを手放すまでの動作、リリース期はボールが手から離れ、腕の動きが急に減速される時期までの動作、フォロースルー期はボールを投げ終えて投球動作が終わるまでを言います。
この一連の動作の中で、加速期からリリース期にかけては、特に肩の内転筋群と内旋筋群が酷使され、野球肩は、これらの動作の繰り返しによって上腕骨近位骨端線に異常な回旋ストレスと牽引力が加わり疼痛が発症してしまうものです。
症状は投球時の肩の痛みや脱力感、運動障害など。治療は投球動作を一定期間完全に中止、もしくは投球制限をしなければなりません。リハビリテーションとして肩や腕のストレッチングと筋力強化訓練を指導し、最も大切な治療は予防に対する指導です。すなわち指導者は投球前に十分なストレッチングやウォーミングアップを指導し、投球フォームを念入りにチェックし、練習が過剰にならないように注意しなければなりません。
さらに練習後はアイシングを行わせクーリングダウンの徹底は必須です。投球数は小学生では一日の投球数を50球以内とし練習時間は1日2時間、練習期間は1週間に3日まで、中学生では一日の投球数を70球以内とし1週間に6日まで、高校生では一日の投球数100球以内とし1週間に6日までと言われています。
しかしこれは統計上、医学的に言われている球数であって、個々の体格や柔軟性も違うため一概に言えません。チーム事情や監督の考えなどで、球数をオーバーしているのが現状です。将来のため自己管理をしましょう。
野球肘(リトルリーガーエルボー、ベースボールエルボー)
野球肘とは投球動作を積み重ねることにより起こる肘の痛み。
正式な医学的名称は上腕骨内側上顆炎。別名リトルリーガー肘、リトルリーガーエルボー、ベースボール肘、ベースボールエルボーとも呼ばれます。一般に野球の投手に多く見られます。
症状は投球のリリースの際に肘に激しい痛みを覚え、投球が困難になります。1球で野球肘になることはなく、長期間に渡る悪いフォームでの投球や過度の投球によって起きるのです。
主な原因として投球フォームに無理があることが考えらます。多くの場合投球のリリースの際に上体が開いている(正面を向いてしまっている)ことにより、肘が体から遠くを通り、肘にかかる負担を大きくしているのです。
主な治療法として電気治療や温熱治療、最近では超音波治療などが有効です。また体(肩周りの筋肉や股関節)の柔軟性を高めることによっても快方に向かわせることも出来ます。その他テーピングで痛みを和らげたり、筋力アップで肘にかかる負担を和らげることも可能です。
治療も大切ですが根本的な解決方法として、もっとも有効なものは投球フォームを改良することです。
スポーツ障害とスポーツ外傷
近年スポーツによる怪我や痛みが非常に多く、各種目で発症しやすい場所は異なります。スポーツ外傷と障害の違いを簡単に記載しました。
スポーツ障害とは?
長期的に同じスポーツを続けることにより、体の一定の部位に負担がかかって起こる痛みを主に「スポーツ障害」と呼ぶ。スポーツにおいての体の使い過ぎ(オーバーユーズ)を原因とするもので、成人だけでなく成長期の子供にもよく発症します。
スポーツ外傷とは?
スポーツでの転倒、衝突、捻転などによる突発的な痛みを主に「スポーツ外傷」と呼ぶ。骨折、脱臼、捻挫、打撲、肉離れなどがスポーツ外傷に含まれる。
どちらの原因で痛みが発症しても辛いものです。常日頃から予防対策をし、怪我をしてしまったら計画的に治療をしましょう。